第24回イブニング新人賞特別審査員長・奥浩哉氏スペシャルインタビューVOL.1!

2014/04/22 12:00

新人賞

イブニング新人賞第24回特別審査員長
奥浩哉氏スペシャルインタビュー VOL.1


イブニング新人賞は今回の第24回から、輝く一流のプロ作家を特別審査員長に迎えて大幅リニューアル!

今回の特別審査員長は只今『いぬやしき』を好評連載中の奥浩哉氏が登場です!!

奥浩哉氏に、気になるデビューまでの道のり審査のポイント、さらには漫画が上手くなるにはどうすればいいかまでを聞いた、ココでしか読めない内容盛りだくさんのスペシャルインタビューを全3回に分けてお届けします!
(※このインタビューは4月8日発売の「イブニング」9号にて掲載された記事の再掲載です)

デビュー前から絵が上手くなりたいと思って練習を重ねてきたという奥氏。その技術の粋が『いぬやしき』に詰め込まれている。

デビュー前から絵が上手くなりたいと思って練習を重ねてきたという奥氏。その技術の粋が『いぬやしき』に詰め込まれている。


高校生で初めて応募した新人賞

——新人賞に応募したのは高校生の頃と伺いました。
 「高校に入ったら賞に出してデビューするぞ!」って心に決めていました。親にもそう言い聞かせていて、半分洗脳みたいな感じ(笑)。両親からは「しょうがないね、漫画家になるんだ」と反対はされなかったんです。
 高校2年生の時に、小学館の『少年サンデー』に応募しました。『サンデー』はその頃、高橋留美子先生、あだち充先生、細野不二彦先生、岡崎つぐお先生たちが連載されていて、SFちっくなものを描かれる方々が揃っていました。僕はSFが好きだったので惹かれたんです。

——応募された作品はどのような漫画でしたか?
 『少年サンデー』に出すものだったので、少年向けSFみたいな感じです。主人公の男の子が女の子になっているパラレルワールドが存在していて、その男の子と女の子が入れ替わってしまう、というものでした。ただ審査員の方たちにあまり理解されなかったようです。作品の講評文が、単に主人公が女の子になっちゃった、みたいな説明文になっていて「女の子に変身するのはよくある設定」と書かれていて「あれ、勘違いされているな」と思いました。
 あまり覚えてないんですがたしか30Pくらいで、仕上げるまでに1~2ヵ月かかった記憶があります。ネームから書いていたかどうか覚えてなくて、たぶんそのまま原稿に描いていたと思います。その頃はそんな感じで、いきなり1ページ目から描いていました。
——受賞した時の感想は?
 びっくりしました。入選の知らせが電話で連絡がきたのは覚えてます。連絡がこないので「だめかな」と思ったタイミングできたような気が。自宅に掛かってきたのですが、まるで「テレビ局から掛かってきた!」くらいの驚きがありました。編集の人に「賞に入ったので、私が担当します」と言われました。その担当の人とは授賞式で初めて会いました。

授賞式でまさかの……

——授賞式、覚えていますか?
 小学館の中の会議室みたいな部屋に受賞者みんなで座って、檀上に原秀則先生が来て「漫画家は苦しいですよ、つらいですよ」と、トーンの低い感じでお話されていたのを覚えています。「がんばってください」とかはなかったような……(笑)。
 賞金は、手渡しでもらった記憶があります。机の上に、おせんべいが入っていたような缶に小銭とお札が入っていて「君、ここに来るのにいくらかかった?」と言われて。福岡から東京に出て来ていたのですが「ちょっと覚えてないです」というと、「だいたいでいいんだよ、何万円?」「えー、たぶん2万円弱くらいですかね」っていったら「2万、と。……あと佳作だったっけ?」といって1、2ってその場でお札を数え始めて。
 当時、僕はお小遣いが1ヵ月1000円だったので、そんなお金もらったことなくて「ええ!? いいの!?」って思いました。そのお金で、エアブラシとコンプレッサーのセットを買いました。僕はその頃、スーパーリアルイラストレーションとか好きで、その作家で空山基(はじめ)さんというという方が使っているので有名で、流行っていたんです。僕も使いたいと思って買いました。

——授賞が同期の作家さんはいますか?
 受賞者は僕含めて10人くらいいたと思いますが、佳作にきたがわ翔先生、そして大賞が木城ゆきと先生でした。後になって、きたがわ先生からきいたんですがびっくりしましたね。

楽しかった漫画漬けの日々

——その後デビューするまでは?
 受賞してからサンデーの編集者さんとネームのやりとりをしていましたが、全然良くなくて、全く相手にされませんでした。僕の中でも自由に描いていて、その頃は雑誌に載るとかよりも単に担当さんがついてやりとりをしているだけで「すげー」ってなっていたんです。ずっと電話で話していて、2度目に担当さんと会ったのは卒業してからでした。
 担当さんから呼ばれて上京したんですが、小学館に行くと『スピリッツ』の編集さんを紹介されました。「何故だろう」と思っていたら、『スピリッツ』で描いていた山本直樹先生がアシスタントを探していたようなんです。僕はそのために東京に呼ばれたんだと、そこで初めてわかりました。
 小学館の道路を挟んだ小さな旅館に泊めさせられて「ここにいてね」「はあ」みたいな。食事したり本屋に行ったりしていたのですが、夜中2時に起こされてタクシーに乗せられて山本先生の仕事場に連れていかれました。そこで初めてアシスタントをしました。
 手伝ってから一度福岡の実家に帰るんですが、その後もう一度呼ばれて上京しました。その時にはもう、自分が住むアパートも決められていたんです。六畳一間で2万8000円。角部屋で西日がすごく強く差し込むので、室内に蒸気がたまっているのが分かるんです。山本先生の仕事場の近くでした。早くここから抜け出せるようにと、わざと条件が悪いのを探してくれたんだなと思います。

——そこから山本先生のアシスタントを続けられるんですね。
 週に2~3日、基本的に泊まり込みで仕事をしていました。泊まり込みといっても、基本的に寝ることはないんです。寝ても机の下とかこたつの中で。先生は寝ないんですよ。どうやら、布団は用意しないのがポリシーだったみたいです。
 小学校から高校までは、自分が一番漫画ですごいと思っていたので、ずっと漫画のライバルを探していたんです。中学生の時には、大学の学園祭にひとりで行って、漫研とかを見にいっていたんですよ。誰か自分に匹敵する人がいないかな、と思って。でも「大学でもこんなレベルなんだ。遊んでんじゃん!」と思ってしまって。「もっとまじめにやれよ」くらいに思っていました。周りに描いている人もいなかったんです。
 それが、東京に出てくると漫画家になりたい人はみんなアシスタントで漫画を描いている環境。そういう人たちと漫画の話ができるだけでとても楽しかったです。当たり前に、持ち込みして、まじめに漫画家を目指してる。福岡にはいなかったんですね。
 僕自身は、東京に出てきたばかりで常識がなかったので、それが当たり前だと思っていましたし、とっても楽しかったです。楽しくてしょうがなかったです。■

スペシャルインタビューVOL.2は気になる【審査のポイント】について!

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